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愛車遍歴「バイク編」⑩BMW F800ST

2018年2月9日金曜日

この原稿を書いている時点で所有しているバイクがBMW F800STです。
すでにF800GTというモデルが出ているので現行モデルではありませんが、デザイン面での古さは感じさせません。車重が軽く取り回しがしやすいので普段の街乗りもできれば、カウルがついているので長距離もラクラク。落ち着いたカラーリングで大人のバイクの雰囲気が気に入っています。

で、このバイクはいろいろと特徴があって、特にエンジンがとっても個性的なんです。F800STが採用しているのは、並列2気筒パラレルツイン。最近のバイクではほとんど見かけません。2気筒ならV型、パラレルなら4気筒というのが現在の主流です。でもこのバイクは敢えてパラレルツインを採用。そしてさらに面白いことに、2つのピストンが同時に上下する360度クランクとなっているのです。
ふつうに考えれば、4サイクルの吸気→圧縮→燃焼→排気の工程で生じる力の増減を打ち消し合うよう180度クランクにしたり、なめらかさを高めるために270度としたりするところですが、このバイクのクランクは360度。つまり単気筒と同じ動きをするのです。
そうなると当然大きな振動が発生するわけですが、このバイクは同じ重量のバランサーをピストンロッドの反対側に取り付けて振動を打ち消すことにしました。こんな余計なものをわざわざつけてまで360度にこだわったのは、BMW伝統のボクサーエンジン(水平対向2気筒)と同じフィーリングを出すためとか。
でもボクサーエンジンは2つのピストンが逆向きに付いているので同時に点火しても振動は出ないけど、並列2気筒で同じことをやるのはちょっと無理があるんじゃないのかな。
それに、そもそもワタシ、ボクサーエンジンはあまり好きではないのですが。

もちろんBMWの設計者はそんなことはお構いないわけで、バランサーによほど自信があったのか、なんとエンジンをフレーム直付けにしちゃいました。ビンテージハーレーじゃあるまいし、振動がツライんですけど。GTにモデルチェンジしたらラバーマウントになったそうですから、やっぱり評判悪かったんだろうね。

さらに、個性的なのがオイル系。F800STではセミドライサンプ方式を採用しています。この方式はポルシェやGT-Rなどで採用されているそうですが、バイクではあまり耳にしません。そもそもセミドライサンプ方式というのはクランクケース下部にオイルパンを設けながら、ポンプで強制的に循環させるというもの。一見、「おっ、なんだかすごそうじゃん」と思うのだけど、ハーレーではドライサンプが普通だし、国産でもドライサンプのバイクはいくつもあります。BMWのKシリーズもドライサンプです。このバイクもドライサンプにすればエンジンの重心をもっと下げられたし、軽量化もできたはず。なぜセミドライサンプとなったのかは謎です。

ちなみにこのエンジンはオーストリアのロータックス社製。中にはロータックスを格下扱いする人もいるようですが、Apriliaや航空機のエンジンにも採用されるなど定評のあるエンジンメーカーなんですよ。

このバイクは、STの名前の通り、スポーツとツアラーの良さを兼ね備えたバイクと言えます。800ccの排気量はアクセルを開けながら走る楽しみも与えてくれますし、ボア×ストロークを見ても、このクラスのちょうど中間のポジションをとっていることがわかります。

・ドゥカティ 821 ボア×ストローク:88×67.5mm、トルク:89.4Nm / 7,750rpm
・BMW F800ST ボア×ストローク:82×75.6mm、トルク:86Nm / 5,800rpm
・ハーレー883R ボア×ストローク:76.2×96.8mm、トルク:76.2Nm / 3,749rpm

このように明確なコンセプトのもと、BMWが新規ユーザーを獲得するためのエントリーモデルとして開発されたF800STは、価格を抑えながらも先進的な試みをたくさん取り入れた意欲的なモデルなんです。とても良いバイクですよ。



BMW F800ST
発売年:2006
エンジン:水冷4ストローク DOHC4バルブ並列2気筒
最高出力:85ps/8,000rpm
最大トルク:8.77kg-m(86Nm)/5,800rpm
乾燥重量:210kg


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